女性特有の病気というものがある。2度のがんを経験したタレントの原千晶さんはその女性の病に悩まされた一人だ。彼女は自分の辛かった経験を、少しでも人に役立てたいと考えているという。
30代で子宮頸(けい)がん、子宮体がんと、2度もがんと闘った経験を持つ原千晶さん。「子宮頸部に何かできていると言われ、大学病院で検査したら、1.5センチの腫瘍(しゅよう)が見つかってしまって」。
そのときは、あまり事の重大さを感じていなかったという原さん。腫瘍のある部分を円錐(えんすい)切除し、それで終わるものと思っていた。
「病理検査の結果、悪性のがんだとわかって、子宮の全摘手術をすすめられたんです。30歳の私はあまりの衝撃に、やっと出た言葉が『私、子どもが産めなくなるんですか?』でした」
まだ若く未婚だった原さんにとって、受け止めきれない現実は、子宮頸がんという病気よりも、子どもが産めなくなるということ。母になる可能性を摘み取ることに対し、迷いに迷い、一度は決心した手術を前日になってキャンセルする。担当医は、原さんの苦悩を理解し、毎月の経過観察を条件に了承してくれた。
手術からもうすぐ5年を迎えるという2009年の秋、今度は子宮頸部と子宮体部にがんが見つかる。
「このときほど自分の認識の甘さを責め、後悔したことはなかったですね。事態は前回より深刻で、リンパ節にも腫瘍が見つかり、子宮全摘だけじゃなく、抗がん剤治療も必要でした」
6クールの抗がん剤治療は、手術よりつらかったという原さん。髪は抜け、からだ全体がしびれて、常に電流を流されている感覚だったと、当時を振り返る。
人は自分のためだけにはがんばれない。自分の経験を少しでも人のために役立てることができるなら......。ひとりの女性として、タレントとして、原さんはそう考えているという。
「女性はちょっと体調が悪いくらいなら、どうしても我慢しがちですよね。仕事をするのも、結婚して妊娠・出産するのも、健康なからだがあってこそ。もし、変だなと思うことがあれば、我慢せずに受診してほしい。若いからといって、婦人科系のトラブルを甘く考えないで。自分自身を大切にすることが、将来の幸せにもつながると思います」
ソース:週刊朝日EX DIGITAL
http://www.wa-dan.com/article/2012/09/post-1081.php